〜伏羲からの新年会の招待〜(楊ゼンバージョン)

 「フッフッフ、楊ゼン!正月じゃ!」
 仕事に忙殺されている教主の前に突如現れたのは、不気味な笑みを浮かべた伏羲だった。
 しかし楊ゼンは少しも慌てた様子も見せず、落ち着いた態度で顔を上げた。
 「…そうですね師叔…それでそれがどうかしたんですか?」
 「むぅ…のりの悪い奴…まぁよい!兎に角楊ゼン!勝負じゃ!」
 楊ゼンの態度に憮然とし、しかし直ぐに気を取り直すと伏羲は勢い良くそう言い放った。
 「勝負って…一体何の勝負ですか?」
 そんな伏羲の迫力に内心では圧されながらも、出来るだけ冷静であろうとしつつ楊ゼンは問う。
 「詳しくはこれに書いてある!ではな!」
 ―ヴン!という空間が歪む音がして伏羲は姿を消す―後に残されたのは一枚の紙片…
 「あっ!ちょっと!待って下さいよ〜…」
 慌てて呼び止めようとしても、最早伏羲は空間移動を果たした後で…
 楊ゼンは嘆息するしかなく…
 「やれやれ…まったく…師叔は相変わらずだなあ」
 そんな事を言いながら、残された紙片を拾い上げる。
 「えーと…何々…」
 


 ―1月×日某処にて、伏羲主催新年会開催予定!自由参加!尚、優勝者には豪華賞品あり!―
 ―開催地は…下記のヒントを参照の事―
 ―時間までに来なかったら失格、失格者及び敗者には罰ゲームあり―
 ―不参加の場合は…直接断る事!―
 ―尚この手紙を受け取った時点でその人物はエントリーされます、ご注意下さい―

 ―受付及びスタート地点ヒント―
 …太公望の好きなもの…

 必要条件:自力で来ること!


 「って!これのどこが自由参加なんですか!」
 「なっ!何なんですかこれは!ちょっと師叔出てきて下さい!どうせ何処かで見てるんでしょう!」
 ―嫌じゃ!―
 不意にその場に伏羲の声が響く…
 「出てきて下さいってば!」
 ―そんなに言うのならば会場に来てからエントリーを取り消せば良いであろう!直接ならば良いのだ!兎に角おぬしは来るのだ!―
 「何だってこんな事ばかり考えるんですか!」
 ―良いではないか…たまの退屈しのぎ位…まぁよいか…仕方ないのぅ…商品はわし(始祖)の力で出来る事なら何でも一つだけ願いを叶えるというものだったのだが…そうか…そんなに楊ゼンは嫌なのか…他の皆は喜んで参加すると言っておったのにのぅ…―
 「まったく…師叔…あなたという人は…分かりました…参加しますよ…」
 がっくりと肩を落とし楊ゼンはそう言った。
 ―そうか!それでは楽しみに待っておるぞ!―

                            ―続く―
 ―次回予告―
 ―あたりに響くのは伏羲の声だけ…―
 ―フフフ…良く来たのぅ楊ゼン―
 ―師叔…あなたは一体何を企んでいるのですか!?いえ…それよりも姿を見せて下さい!―
 ―嫌じゃ―
 ―なっ!何故ですか!?僕はちゃんと此処に来たじゃないですか!―
 ―楊ゼン…わしは知っておるのだぞ…―
 ―ギクッ!なッ何の事ですか?―
 ―しらばっくれるのか…まぁ良いわ!兎に角わしは此処でおぬしに会うつもりは無い!ではな!―
 ―そうして何処からともなく、楊ゼンの目前に一巻の書簡が不意に現れた…―

 ―果たしてこれから何が起こるのか!?伏羲は何を企んでいるのか!?楊ゼンの命運やいかに!?
 
 ―あとがき―
 突発的に書いた、新年企画です。
 予告通り、改めて加筆修正を加えたものです。